『成り行きキャリア』から抜け出すための第一歩とは?

キャリアを考えることの難しさ

キャリアを考えることは大事だと、多くの場面で耳にします。

けれども、いざ自分のこととして向き合おうとすると「何をどう考えればよいのか分からない」と戸惑う人は少なくありません。日々の業務や家庭に追われて後回しになり、「考えなきゃ」と思いながらも気づけば数年が過ぎている。そんな経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

多くの人がキャリアを最初に意識するのは、就職活動のときでしょう。エントリーシートに将来像を書いたり、面接で「10年後はどうなっていたいか」と問われたりします。しかしその時点では実務経験が乏しく、描く将来像は理想論や漠然としたイメージにとどまりがちです。

キャリア教育の不足と日本的背景

そもそも僕たちは、「キャリアの考え方」を体系的に学ぶ機会をほとんど持ってきませんでした。

学校教育の中でも、会社に入ってからも、キャリア管理の方法論が具体的に提示されることはほとんどありません。「キャリアは自分で考えるもの」と言われはするものの、どう考えるのかは個人任せになっているのが実情です。

さらに日本では、年功序列や人事ローテーションといった仕組みが長く機能してきました。そのため、能動的に設計しなくてもある程度進んでしまう側面があり、自分で立ち止まって考える習慣が育ちにくいのです。

考えないことのリスク

考えないままキャリアを歩んでしまうと、気づいたときには「選択肢が限られていた」「自分で決めた感覚が持てない」といった状況に陥りやすくなります。

外部環境の変化も看過できません。AIの進展、デジタル化の加速、産業構造の転換。これまで積み上げてきたキャリアが、ある日突然通用しなくなるリスクは確実に高まっています。

また「成り行きのキャリア」は、どうしても所属企業の評価制度やローテーションに最適化された形になりがちです。その結果、人材市場での価値を高めにくくなり、自分のキャリアの主導権を握れなくなる恐れがあります。

小さく自分と向き合う方法

では、どうすればよいのでしょうか。

重要なのは、壮大なキャリアプランを描くことではありません。むしろそれは負担になり、長続きしません。必要なのは「小さく、そしてライトに」考え続けることです。

たとえば過去の経験を材料に振り返ってみましょう。

  • 夜遅くまで企画を練った時期は大変だったが、振り返ると最も成長を感じた
  • 初めて後輩を育てた経験が、思った以上に楽しかった
  • 単調なルーティン業務が続いたときは、明らかにモチベーションが下がった

こうした事実を書き出すだけでも、自分がどんな環境で力を発揮し、何にやりがいを感じるのかが浮かび上がってきます。

さらに、これを一度で終わらせないことが大切です。半年に一度、あるいは一年に一度でもよいので、「最近やりがいを感じた瞬間」「逆にエネルギーを消耗した瞬間」を振り返り、メモとして残しておく。散歩中や移動中に考え、後でスマホに一言書き留める程度でも構いません。

深刻に考えすぎると続かなくなります。だからこそ「ライトに取り組む」ことが不可欠です。そして、ときには「今はあえて積極的に考えない」と決めるのも良い選択です。余裕がない時期は、まず目の前のことを乗り切る。そのうえで心身に余白ができたときに、再び少しずつ内省を始めればよいのです。

ライトに続けることが力になる

キャリアは一度考えて終わりではありません。

正解を探そうと力むのではなく、日々の気づきを拾い、軽やかに更新していく。小さな振り返りの積み重ねは、外部環境に揺さぶられにくい自分を育て、同時に人材市場での価値をじわりと高めます。

深刻に構えすぎず、ライトに続けること。ときには「今は考えない」と割り切ること。その柔らかさが、長期的に見ればキャリアの基盤を強くするのです。

キャリアに完璧な答えはありません。

けれども、小さな振り返りや「今の自分に光を当てる」ことを続ければ、その積み重ねは必ず未来の糧になります。忙しい毎日の中でほんの少し余白を持ち、自分との対話を続ける。その習慣こそが、未来のキャリアをしっかりと、着実に形づくっていく基盤になるはずです。


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